放射性物質 ラジウム-226
ラジウム-226の半減期
ラジウム-226の半減期は、1,600年
ラジウム-226の崩壊方式
ラジウム-226は、アルファ線を放出してラドン-222(222Rn、3.824日)となる。ガンマ線が放出される。ラドン-222はさらに崩壊して短寿命放射能が生じる(「ラドン-222」を参照)。
ラジウム-226の存在と生成
ラジウム-226は天然で、ウラン‐238(238U、44.8億年)が崩壊を続けて生じる。鉱石中のウラン1tに0.32g(放射能強度、120億ベクレル、1.2×1010Bq)が含まれる。玄武岩、花こう岩および堆積岩1kgに含まれるラジウム-226の量は、それぞれ5.2、53および37ベクレルである。食品中の濃度は地域によって大きく変動するが、国連科学委員会が採用しているラジウム-226標準値は、穀物、根菜、葉菜および魚1kg中の量はそれぞれ0.08、0.05、0.03および0.10ベクレルである。外洋海水中には、1リットルあたり0.0033ベクレルが含まれる。トリウム‐232(232Th、141億年)の崩壊で生じるラジウム-228(228Ra、5.75年)はラジウム-226と共存することが多い。
ラジウム-226の化学的、生物学的性質
ラジウム-226はカルシウムと似た性質をもつ。体内に入ると、骨内部に不均一に分布する。体内に取り込まれたものの中で、骨に集まる分の比率は低いが、骨に入れば長く残留する。骨内部のラジウム-226の崩壊で生じるラドン-222の70%が血液を通って体外に放出される。体内のラジウムの量は1.1ベクレルで、骨の中に1ベクレルが存在し、1日のラジウム-226摂取量は0.1ベクレル以下とされている。ラジウムは土壌から植物によって吸収され、生物の食物連鎖に入る。
ラジウム-226の生体に対する影響
ラジウム-226・ラドン-222と崩壊生成物が放出するアルファ線による内部被曝が問題になる。10,000ベクレルを吸入した時の実効線量は22ミリシーベルト、経口摂取した時は2.8ミリシーベルトになる。また、1mの距離に100万ベクレルの小線源があると、ガンマ線によって1日に0.0054ミリシーベルトの外部被曝を受ける。
ラジウム-226のラジウムを濃縮する植物
ブラジルナッツは1㎏あたり10~260ベクレルのラジウム同位体を含むとする研究がある。測定した15試料中の3試料のみが1㎏あたり40ベクレル以下であった。ラジウム濃度は、他の食品よりも約1000倍も高い。ただ、ブラジルナッッツを食べても、ラジウムのほとんどが体内に残らないという報告もある。
ラジウム-226の放射線の測定
ラジウム-226の放射線測定は、多種類の試料が測定の対象となる。試料からのラドンの放出を防ぎ、採取から30日以上経過後に短寿命の鉛-214とビスマス-214から放出されるガンマ線をゲルマニウム半導体検出器で測定すればよい。ラジウム-226が体内に入っている量を知るには、全身カウンターで測定するか、排泄物中の放射能を測るバイオアッセイを用いる。 |
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