原乳の放射線量検査について
健康な乳牛から搾られた原乳は、その酪農家のタンクで10℃以下に冷却し、2日程度貯蔵されます。その各酪農家の原乳(搾ったままの乳)をタンクローリーで集め、さらに多数の酪農家の原乳と合わせてクーラーステーションと呼ばれる原乳の冷蔵保管施設にいったん保管します。その後、乳業工場に輸送されるのが一般的です。このように、酪農家が生産する原乳は、クーラーステーションに集められた後、原料として乳業工場に出荷されるので、個々の酪農家が生産した原乳をそのまま消費者が飲むわけではありません。したがって、消費者に提供される牛乳・乳製品の安全性を確保するためには、個々の酪農家ごとではなく、クーラーステーション単位で放射性物質に関する検査を行っています
牛乳の原産地はわかりますか?
牛乳・乳製品については、食品衛生法上、原乳の原産地ではなく、「乳業工場の所在地」を表示しなければならないことになっています。このため、消費者が牛乳・乳製品の表示を見ても、原乳の原産地を確認できない場合があります。また、季節などによっても原産地が変わることもありますので、こうした牛乳・乳製品の情報についてお知りになりたい方は、牛乳・乳製品の製造事業者(メーカー)のお客様相談室などにお問い合わせください。なお、地域的広がりをもって基準値を超える放射性物質が検出された場合は、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)より関係知事に対し、出荷制限などの指示が出されます。この場合、農協又は乳業者が、クーラーステーションへの出荷段階又は乳業工場への出荷段階で、原乳の出荷者名や地域の確認を行うこととなっています。したがって、出荷制限等の対象地域の原乳が、牛乳・乳製品の原料として使用されることはありません。
牛肉が大問題になりましたが、何が起きていたのですか。
放射性物質に汚染された稲わらを与えられた可能性のある牛が出荷されていたことが分かり、その数は平成24年2月27日現在、4,626頭に上っています。このうち1,642頭の牛の肉が検査され、105頭の牛の肉(検査された牛のうち約6.4%)から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されています。収穫後から水田に放置されていた稲わらは、土の上に横たえられていたため、降下物を受け止める表面積が大きく、放射性物質の降下の影響を受けやすい状態でした。飼料は、原発事故前に刈り取り、屋内に保管しているものを使うようにとの注意事項が十分に守られず、原発事故後も水田に放置されていた稲わらが一部で肉牛に与えられ、その中には、粗飼料としての利用の目安300Bq(ベクレル)/kgを超える放射性セシウムを含むものがありました。
放射性物質に汚染された稲わらを与えられた可能性のある牛は、出荷自粛されています。また、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)から出荷制限の指示が、福島県、宮城県、岩手県、栃木県に出されました。4県とも平成24年4月10日現在では一部解除され、全頭調査か全戸調査を行い暫定規制値以下となった場合には、市場流通が可能となっています。また、出荷されてしまった4,626頭の牛については、各牛の個体識別番号が公表されています。該当する牛の肉は県が調査を進め、市場に流通していた場合は、まず販売中止にした上で放射性セシウムの検査を行い、暫定規制値を超えるものは回収しています。
購入した牛肉に表示されている個体識別番号を(独)家畜改良センターのホームページに入力すると、誰でもインターネットを通じて牛の生産履歴を調べることができます。また、同センターのホームページでは、「牛肉の放射性物質に関する検索システム」により、個体識別番号から放射性物質検査の状況を確認できます。なお、牛肉に適用される食品の基準値の見直しをきっかけとして、牛用飼料中に含まれることが許容される放射性セシウムの目安を、平成24年2月3日に、300Bq(ベクレル)/kgから100Bq(ベクレル)/kgに改訂しています(粗飼料は水分含有量8割ベース、その他飼料は製品重量)。
鶏肉や豚肉も心配です。大丈夫ですか。
私たちが食べる肉用牛は、とうもろこしなどの他に、放射性物質の降下の影響を受けやすい稲わら(問3参照)を与えられます。乳用牛は、稲わらではなく、生牧草や牧草をサイロなどで発酵させたサイレージを与えられます。
鶏・豚は、その消化器の仕組みが牛とは違うので、稲わらや牧草は消化できません。したがって、飼料として穀物やその副産物などが与えられており、稲わらは与えられません。 また、安全な畜産物が生産されるように、穀物やその副産物などを含む家畜の飼料全般について、平成23年8月1日に300Bq(ベクレル)/kg以下の目安を設定し、地域毎にこの目安を下回ることを確認しています。 なお、各都道府県で実施された、食品中の放射性物質の検査結果は、厚生労働省が集約し公表しています。平成23年10月20日まで、鶏卵、鶏肉および豚肉から検出された放射性セシウムの最高濃度は、それぞれ11.4、12.2、270Bq(ベクレル)/kgで、それ以降平成24年2月29日までは、すべて検出下限以下となっています。
豚、家きん用飼料中の放射性セシウムの目安については、食品の基準値の見直しをきっかけとして、飼料から畜水産物への放射性セシウムの移行に関する試験など、国内でこれまでに蓄積した知見・データを活用して見直したものです。平成24年3月23日に、これまでの300Bq(ベクレル)/kgから、豚用は80Bq(ベクレル)/kg、家きん用は160Bq(ベクレル)/kgに改訂しています。
購入する乳類お肉の放射線量を知りたい現在、購入する食品の放射能汚染の度合いでもある放射線量を公表して販売している流通業者は、ほとんどありません。これは、放射能測定装置を使用し食品から放出される放射線量を測定するまでに1検体2時間程度必要であり、また検査をするのにペースト状等にするため食品としての形状や食味が変わってしまい為です。ほとんどの業者はサンプリング検査を行っていますが、放射性物質は自然界にごくごく普通に微量であるが存在しており、同一産地の同一品種でも若干放射線量は異なります。放射線量を公表する事で基準内でも放射線量が低いものを選んで購入しようと消費者心理をあおるものとなりますので基準内である場合は公表をしない事が流通業者の対応です。
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