放射線の被曝(被ばく)と健康影響
高い放射線を受ける被曝(被ばく)による健康影響
全身に一度に高い放射線を受けて被曝(被ばく)した場合は、放射線による障害は短い期間で現れ急性障害といわれます。図1 は放射線量と、急性障害の関係を表しています。
私たちヒトは、一度に6〜7Sv 以上の放射線を被曝(被ばく)すると99%以上の人が死亡しますが、その死亡原因や死亡するまでの時間は被曝(被ばく)した線量によって異なります。100Sv以上の大量の放射線を一度に被曝(被ばく)すると、短時間で方向感覚
、平衡感覚の失調や運動失調などの中枢神経の異常が現れ、ショックに陥って2日から3日以内に死亡します。それよりも少ない線量での被曝(被ばく)では、胃腸死という転帰をとります。
茨城県内の原子力施設で発生しました臨界事故で、被曝(被ばく)された方の被曝(被ばく)量は16〜20 Sv と計算されています。被曝(被ばく)により遺伝子情報を失った細胞は組織を作ることができなくなります。その為、被曝(被ばく)された方は、血性の下痢に加えて、皮膚が完全に剥げてしまったため、体表面から体液が漏出し、貧血、脱水症状となり毎日大量の輸血や補液が行われ、皮膚移植、骨髄移植が試みられましたが効果なく亡くなりました。10Sv
前後の被曝(被ばく)では、骨髄死の転帰をとります。これは骨髄で作られる血小板や赤血球、白血球等が減少し、出血、貧血、感染症などがおこるためです。被曝(被ばく)した人の約50
%が死亡する線量は4Svくらいといわれています。生殖器に約5Sv 被曝(被ばく)すると永久不妊症になります。0.25Sv (250mSv)では、白血球が一時的に減少しますが後に回復するとされています。250mSv
以下の被曝(被ばく)であれば、急性の臨床症状は現れないということで、これを「しきい値」とし、国際放射線防護委員会(ICRP)でも採用されています。
低い放射線を受ける被曝(被ばく)による健康影響
放射線は、日常生活の様々な場所に存在し微量ながら毎日放射線を被曝(被ばく)しています。また、放射線の特性を利用したものとして、レントゲンやラドン温泉なども実は放射性物質を利用したものです。一度に大量の放射線を被曝(被ばく)するのではなく、非常に少ない量の放射線を被曝(被ばく)した際の健康障害について説明したいと思います。100
mSv程度の放射線を被曝(被ばく)した時に最も敏感に反応するのが白血球です。リンパ球は放射被曝(被ばく)した事で減少をする事がわかっています。国際放射線防護委員会(ICRP)では、私たちが放射線を浴びて被曝(被ばく)してはいけないという限度を勧告しており、1年間あたり1mSvとしています。但し、この線量の被曝(被ばく)が安全だというわけではありません。「10万人がそれぞれ1mSv
被曝(被ばく)すると、その中から放射線によるがん死が1人から37人の割合でが発生する」と計算されています。
身の回りにある放射線を受ける被曝(被ばく)と健康
政府や東京電力㈱や原子力関連の団体は、放射線は私たちの身の回りには放射性物質や放射線が存在し、毎日微量ながら被曝(被ばく)したいる事を強調しています。少量の放射線や放射性物質は、ごくごく普通に自然界に存在し、微量の放射線を浴び続けて被曝(被ばく)する事は健康影響はないと受け止められる内容のサイトが多いと感じます。しかし、最近では長時間飛行機に乗るパイロットや乗務員の放射線被曝(被ばく)(東京ーニューヨーク間往復0.19mSv)が問題になって来ていますし、レントゲンやCTなどの医療検査機械による医療被曝(被ばく)によるがんが問題視されています。少量だからと言って注意が必要であると考えられます。
|
|
|