アメリシウム-241
アメリシウム-241の半減期
433年
アメリシウム-241の崩壊方式
アルファ線を放出して、ネプツニウム-237(237Np、212万年)となる。ガンマ線が放出される。
アメリシウム-241の存在と生成
人工的につくられる放射能。プルトニウム-239(239Pu、2.41万年)の二重中性子捕獲によって生成するプルトニウム-241(241Pu、14.4年)がベータ崩壊して生じる。
核兵器が爆発した時の生成量は、爆弾の種類によって変わり、核兵器実験による大気中への放出量もよくわかっていない。電気出力100万kWの軽水炉を2年間運転後の使用済核燃料1tには5g(放射能強度、0.65兆ベクレル)が含まれる。原子炉から取り出した後の時間の経過とともに量が増し、10年後に40g(放射能強度、5.2兆ベクレル)、100年後には93g(放射能強度、12兆ベクレル)となる。
アメリシウム-241の化学的、生物学的性質
金属は空気中で表面が酸化されやすく、塩酸にたやすく溶ける。3価の化合物が重要で、酸化物は3酸化2アメリシウム(Am2O3)が安定で、溶液中では3価イオンとなる。
アメリシウム-241の生体への影響
アルファ線による内部被曝が大きい。10,000ベクレルの不溶性酸化物を吸入した時の実効線量は270ミリシーベルト、経口摂取した時は2.0ミリシーベルトになる。ガンマ線による被曝もある。1mの距離に100万ベクレルの線源があると、1日に0.009ミリシーベルトの外部被曝を受ける。
核燃料中のアメリシウム-241
プルトニウムを核燃料として用いる時に、アメリシウム-241は邪魔者である。プルトニウム-241は遅い中性子の照射で核分裂するが、アメリシウム-241は中性子を捕獲しやすい。核分裂の起こる比率は低く、核分裂は起こらないとしてよい。中性子を無駄食いする核燃料中の「毒物」である。アメリシウム-241を含む燃料はグローブボックスの中で取り扱いにくい。指先で線量が1時間に1ミリシーベルトに達することも考えられ、手で取り扱うことはできない。再処理によって分離したプルトニウムは、アメリシウム-241の量が増加しない間に、なるべく早く核燃料として用いねばならない。
アメリシウム-241を含む煙感知器
アメリシウム-241から放出されるアルファ線を利用する煙感知器がある。日本では、1個あたりの放射能量を100,000ベクレル以下とし、家庭用には販売されなかった。放射能を含む装置のふつうの場所への設置はよいことではなく、日本では使用されなくなっている。
アメリシウム-241の再処理工場からの放出
六ヶ所村で1年間に処理する予定の800tの使用済核燃料の中に20㎏(放射能強度、2,600兆ベクレル、2.6×1015Bq)のアメリシウム-241があり、排水中に1.4億ベクレル(1.4×108Bq)が入るとされている。運転開始後の実際の排出量に注目したい。
アメリシウム-241の放射能の測定
化学的に分離した測定試料から放出されるアルファ線をシリコン半導体検出器で測定するのがふつうの方法である。体内にある量を知るには、全身カウンターでガンマ線を測定するか、排泄物中の放射能を測るバイオアッセイを用いる。
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